長期間にわたって返済が続く住宅ローン。ただ、住宅購入後に支払うものは、ローン返済だけではありません。現実的には「諸費用」というものがかかります。では、諸費用とは一体何なのか、紐解いていきましょう。
■住宅ローンの返済
まず、住宅購入後にかかる費用を大まかに分けてみましょう。以下のようになります。
・住宅ローンの返済
・住宅にかかる税金
・住宅の維持にかかる費用
このように、3つに分けたうち、住宅ローン返済以外の費用が、いわゆる「諸費用」と呼ばれているものです。
「諸費用」というように大きく捉えてしまうとわかりにくいのですが、その実は「税金」と「維持管理コスト」の2つに分類されるということです。
これらは、住宅購入前はローンの影に隠れていて、表に出てくる機会はあまり多くありません。ただ、決して小さなコストではないため、知らずに住宅を購入してしまうと、後に金銭面で厳しい状況になる可能性があります。
住宅購入時は、こういった諸費用のことをきちんと意識しておきましょう。具体的には、諸費用のことを踏まえた月々の返済額を考えるということです。
諸費用のことを考慮せずに住宅ローンの返済プランを立てると、どうしてもギリギリまで借りてしまい、病気や事故など、不慮のアクシデントが身の回りに起こった際に余裕のない状況になってしまいます。
住宅ローンを申し込む前には、しっかりとライフプラン設計をした上で毎月の家計管理を行い、その上でギリギリの予算ではなく、余裕のある返済プランを立てておくことが重要です。
■住宅にかかる税金
それでは、具体的に諸費用の内容を確認していきましょう。ここからは税金について書いていきます。
住宅購入後にかかる税金としては、固定資産税、都市計画税、特別土地保有税、地価税の4つがあります。
このうち、特別土地保有税は、広範囲にわたる土地(2,000〜10,000平方メートル)の保有者に対して課税されるもの。
住宅購入として2,000平方メートル以上の土地を購入するという人は、ごく一部かと思いますので、この税金については考慮しなくても問題ありません。
また、地価税に関しても、これは凍結されて久しい税金ですので、不動産の価格がバブル期並みに急上昇しない限りは復活しないと考えて良いでしょう。
そうなると、現実的にかかってくるのが固定資産税と都市計画税です。いずれも建物と土地それぞれに対して課税されます。それぞれ以下のように計算できます。
固定資産税=固定資産税評価額×税率(通常1.4%、上限2.1%)
都市計画税=固定資産税評価額×税率(上限0.3%)
いずれの税金も、ある程度の像権を満たすと一定期間軽減される制度があります。
参考までに、延床面積100平方メートル、土地の面積100平方メートル、建物評価額
1,000万円、土地評価額3,000万円の戸建住宅を東京都内で購入すると、3年目までは20万円/年、それ以降は27万円/年の税金がかかるという計算になります(評価額が変わらないと仮定した場合)。
購入前に無視して良い金額ではないということが、お分り頂けたかと思います。
■住宅の維持にかかる費用
ここからは、税金以外の住宅を維持していくのにかかる費用について見ていきましょう。
まず、マンションの場合には「管理費」や「修繕積立金」を毎月支払わなければなりません。管理費とは、建物内の共用部分の清掃や設備管理にかかる費用。多くのマンションでは管理会社に実務を委託しているため、この報酬に充当されます。
一方、修繕積立金は建物の老朽化対策として、定期的な点検および修繕をする際にかかる費用を、あらかじめ積み立てておくもの。マンションの理事会が決めた額を毎月支払うことになります。
この点に関しては戸建住宅も無関係ではありません。戸建の場合、自分で考えてしっかりと積み立てておかないと、いざ修繕が必要となった際に、支払えずに直せないといったケースも起こりえますので注意しましょう。
マンションに関しても、修繕費として積み立てられるのはあくまでも建物自体の修繕に充てられるものであり、自室の老朽化に伴う修理・修繕に関しては、自分で支払わなければなりません。
具体的には、キッチンや風呂、トイレなどの水回りはやはり傷みやすく、さらに交換するとなると100万円クラスの出費もありえます。戸建であれば、外壁や屋根も10〜20年程度でメンテナンスする必要があります。
また、車を所有している場合、戸建・マンションに関わらず、駐車場が付いていない物件であれば、駐車場代が別途かかります。都市部では郊外に比べて月々の料金も高額になりますので、事前にかかる費用をチェックしておいてください。
■まとめ
この記事で解説したように、税金や維持費用など、住宅購入後にかかる諸費用の額は、決して購入前に無視できるような小さなものではありません。
あらかじめハウスメーカーや工務店、不動産業者などに相談し、どのくらいの額を想定しておけば良いのか、確認しておきましょう。