住宅を購入する時に不動産取得税や登録免許税などがかかるということを意識しているひとは多いのですが、「購入後にかかる税金」のことは疎かになりがち。そこで、この記事では購入後に支払う必要のある税金とその軽減制度について紹介していきます。
■住宅購入後にかかる税金
制度上、住宅購入後にかかる税金としては、以下の4種類があります。
・固定資産税
・都市計画税
・特別土地保有税
・地価税
まず、固定資産税について見てみましょう。これは、土地や建物などに課税される地方税。毎年1月1日現在の固定資産税台帳に所有者として登録されている人を対象に課税されます。
税額は、固定資産税評価額×税率で、税率は1.4%が通常です(上限は2.1%)。
次に、都市計画税ですが、こちらは都市計画法で指定された市街化区域内の不動産に課税されるもの。市街化調整区域に家を建てた場合には、原則として課税されません。
税額は、固定資産税評価額×市区町村の定める税率で、税率の上限は0.3%です。
■気にする必要のない税金もある
一方、唯一の国税である地価税は、その名の通り「土地にかかる税金」で、土地を所有する個人や法人が支払う義務のある税金です。平成3年に制定された法律で、バブル期に高騰した地価を抑制するために作られたものですが、そのバブルも崩壊し、以降は地価の急激な上昇は見られないため、現在は凍結されています。
つまり、地価税に関しては現状、払う必要はないということです。
また、特別土地保有税ですが、こちらは一定の基準面積以上の土地を取得または所有した際に、10年間限定で支払うべきものです。
基準面積を見てみると、東京都23区で2,000平方メートル、都市計画区域を持つ政令指定都市と東京都23区以外の地域は5,000平方メートル、それらにあてはまらない区域は10,000平方メートルとなっています。
2,000平方メートルと言えば、約600坪。「マイホームを購入する」というには、かなり非現実的な規模ですので、たいていの人は考慮しなくてもいいでしょう。
このことから一般的なサイズの住宅を建てる場合は、地価税だけでなく、特別土地保有税についても気にする必要はありません。そこで、以下は固定資産税と都市計画税に絞って解説をしていきます。
■固定資産税や都市計画税は軽減できる
新たに住宅を所有したケースでは、3~5年間、固定資産税と都市計画税の軽減措置の対象となります。土地と建物、それぞれで軽減率が違いますので、分けて考えていきましょう。
まず、土地にかかる固定資産税を見ていきます。通常であれば、固定資産税評価額×1.4%が課税されますが、軽減措置として、200平方メートル以下の土地については小規住宅用地として課税額が本来税額の1/6になります。
200平方メートルを超える部分については、一般用住宅用地として課税額が本来税額の1/3になります。
次に、建物にかかる固定資産税をチェックします。通常、固定資産税評価額×1.4%が課税されますが、一定の条件を満たすことで、課税額が本来税額の1/2となります。
土地にかかる都市計画税ですが、こちらは通常であれば、固定資産税評価額×0.3%ですが、200平方メートル以下の土地については小規模住宅用地として課税額が本来税額の1/3になります。200平方メートルを超える部分については、一般用住宅用地として課税額が本来税額の2/3になります。
文章で見ると分かりづらいと思いますので、以下の表も参考にしてみてください。
土地 | 建物 | |
固定資産税 | 小規模住宅用地=本来税額×1/6
一般住宅用地=本来税額×1/3 |
一定の条件を満たせば、本来税額の1/2 |
都市計画税 | 小規模住宅用地=本来税額×1/3
一般住宅用地=本来税額×2/3 |
なし |
■シミュレーションしてみる
最後に、事例をもとにして、東京23区で戸建住宅(土地含む)購入すると、後にどのくらいの金額が課税されるのかを見てみましょう。
<前提条件>
・建物の延床面積:100平方メートル
・土地の面積:100平方メートル
・建物評価額:1,000万円
・土地評価額:3,000万円
まず、固定資産税を見てみましょう。
建物の固定資産税=70,000円(~3年目まで35,000円)
土地の固定資産税=70,000円
次に、都市計画税を見ていきます。
建物の都市計画税=30,000円
土地の都市計画税=30,000円
固定資産税と都市計画税をまとめると、
新築後3年目までの税額=200,000円/年
新築後4年目以降の税額=270,000円/年
となります。
■まとめ
上記の計算例ですと、住宅ローン返済に加えて年間20~27万円を払わなければなりません。12ヵ月で割って見ると、月々約1.6~2.2万円を余計に支払っていることになります。
毎月の収入に対して、住宅ローン返済額をギリギリいっぱいまで見立ててしまうと、こういった部分で負担が増えて、最終的に返済できなくなってしまうこともあります。
住宅ローンを借りる際は、ある程度、固定資産税と都市計画税のことも考慮して、月々の返済額を決めていくようにしましょう。