「家が欲しい! でも貯金がない…」住宅購入希望者の中には、そんな方もいらっしゃいます。中には安易に「頭金なしでもローンは組めますよ」とアドバイスする人もいますが、実際には厳しい部分もあります。詳しく見ていきましょう。
・頭金なしで住宅ローンを組む条件
「頭金を用意できる人」と「用意できない人」。お金を融資する側からの視点で見た時、どちらにお金を貸したいと思いますか? もちろん、「頭金を用意できる人」ですよね。
それぞれの差は、信用力にあります。頭金を用意できる人は、それまでにきちんと貯金を作れた計画性のある人。一方、頭金の用意できない人は、計画性がなく貯金ができない人と捉えられてしまいます。
もちろん、実際にはこんなふうに割り切れるものではありません。でも、金融機関はその人の生活すべて見て審査できるわけではありません。限られた情報の中から「きちんと返してくれるかどうか」を判断するために、頭金は重要なポイントとなります。
では、頭金がないと住宅ローンは借りられず、住宅購入を諦めなければならないかというと、必ずしもそうではありません。
確かに、住宅ローンを「住宅金融公庫」で借りるのが一般的だった時代は、「物件価格の8割」を頭金として捻出できることが審査通過の実質的な条件とされていました。
しかし、時代は変わって、最近では銀行が積極的に住宅ローンを「貸したい」状況になってきました。少しでも有利な条件で自社のローンをPRしようとする金融機関同士の競争の中で、「頭金0円でもOK」な住宅ローンも登場しました。
ただし、冒頭に書いたように、頭金が無いことで貸す側は信用を担保することが難しくなるので、審査条件は比較的厳しくなることは覚悟しておきましょう。
例えば、過去に金融事故を起こしているような場合、借り入れは難しくなります。
■頭金なしのメリット
頭金なしで住宅ローンを組んで住宅を購入する最大のメリットは、「今すぐ」家が手に入れられることです。
「住みたい家に出会う」というのは非常に貴重な体験です。全く同じ間取りであっても、立地や方角などの関係上、物件全体で見るとひとつとして同じものがないのが住宅というものです。
タイミングを逸してしまえば、その物件は二度と手に入らないかもしれません。そういった意味では、頭金なしでも「今すぐ」購入できるというのは大きなメリットです。
もうひとつのメリットは、手持ちの資金を減らさなくても家が買えるということ。頭金として捻出できる貯金を持っている人でも、中には「事業資金として使いたい」、「親の介護にお金がかかる」など、手元にお金を残しておきたいことはあるでしょう。
そういった場合、頭金をゼロにして全額住宅ローンで購入することで、貯金を減らさずマイホームを手に入れることができます。特に住宅ローン金利の低い今だからこそ、このメリットは大きいものです。
■頭金なしのデメリット
ここからは、「貯金がない人が頭金なしで住宅ローンを組む」と言う場合のデメリットをチェックしていきます。
やはり、一番大きなデメリットは「返済できなくなるリスク」です。貯金の癖が付いていない人というのは、毎月決まった額を支払うということになれていないことが多く、支払いが滞ってしまうようなケースが良くあります。
また、そういった人にありがちなのが「住宅ローンさえ返済しておけば大丈夫」という甘い予測です。
実際には固定資産税や住宅の維持費など、家を購入するとローン返済以外にもかかる費用はたくさんあります。仮に頭金なしで購入する場合には、こういった費用面もきちんと計算に入れ、返済シミュレーションをしておくことが大事。
「頭金なしでも問題ありません」と甘い言葉を使ってくる不動産営業には要注意。上に挙げたようなリスクがあることを十分に理解しておいてください。
「返済できなかったら売ってしまって、そのお金で返済すればいい」と考えている人もいますが、家の価値が下落するスピードは速く、2~3年で新築時の約8割、10年たてば6割ほどに低下してしまいますので、思ったように上手く返済できないのが現実です。
■まとめ
このように、頭金なしで住宅ローンを組むにはメリットとデメリットがそれぞれありますが、やはり「貯金がない」場合は、どちらかというとデメリットの方が大きいものです。
住宅購入は大きな費用がかかる、一世一代の買い物。将来のことは誰にも予見できないだけに、慎重になりたいものです。頭金なしでも家を購入することはできますが、きちんと頭金として捻出できる貯金ができてから購入する方が安心できるのは言うまでもありません。
よほど気に入った物件でない限り、きちんと頭金を作ってから住宅購入を考えるようにしましょう。