新築探しや間取りづくりの際に「建ぺい率」「容積率」という言葉を聞いたことはありませんか?これらは、建築基準法や都市計画法の規定で、その土地に実際建てられる建物の大きさの上限が決まるものです。
土地探しやマイホームの間取り計画をはじめる方は、ぜひ知っておきたい基本知識です。
今回は、納得の新築づくりに役立つ「土地探し」のポイントを「建ぺい率」と「容積率」を読み解きながら解説していきます。
Contents
1.建ぺい率・容積率とは?
マイホームを考える方の多くは、土地を探している段階から住まいの建物や間取りをイメージしているのではないでしょうか?
例えば、広いリビングやウォークイン収納、お子様の数だけの子供部屋など希望通りの間取りやスペースが確保できれば言うことはありませんが、予算や土地の広さによる制限で妥協が生じる場合がありますよね。
また、今回紹介する「建ぺい率」「容積率」による建築制限で、せっかく良さそうな土地を見付けたのに、希望する大きさの建物が実際には建てられないことが判明するケースがあるのです。
①「建ぺい率」は建築面積の割合
建ぺい率とは、その土地面積に対して建物が建てられる面積の割合を言います。
仮に同じ200㎡の土地に建物を建てる場合でも「建ぺい率」が異なれば、実際に建てられる住まいの大きさは変わってきます。つまり、
・建ぺい率80%⇒最大160㎡
・建ぺい率50%⇒最大100㎡
までの家しか建てることができないのです。
この建築面積(建坪)とは、一般的な2階建ての場合、1階と2階のどちらか広い方の面積と考えられます。
また、住まい以外にもカーポートやコンクリートで土台を固めた物置もこの建物面積に含まれます。
②「容積率」は延べ床面積の割合
容積率とは、土地面積に対するの延べ床面積の割合を言います。
例えば、100㎡の土地で「容積率」100%であれば、1階60㎡+2階40㎡の合わせて100㎡(延べ床面積)の建物を建てることができます。
仮に、敷地面積200㎡の建ぺい率50%の土地で、容積率が50%であれば平屋しか建てることができません。しかし、容積率が100、150%であれば2、3階建ての家を建てることができます。
【前面道路幅にも注意】
容積率には、都市計画法によって定められる指定容積率と、前面の道路幅によって計算される基準容積率があり、前面の道路幅が狭い土地の場合、さらに容積率が低くなることがあります。
2.土地探しに欠かせない!建てられる住宅の制限を知ろう!
①建築基準法の制限とは
都市計画法による「建ぺい率」や「容積率」の制限はありますが、建物の形状や立地条件によっていくつかの緩和規定も設けられています。
・「建ぺい率」⇒幅1m以内の軒・ひさし・バルコニーなどは算入されない
・「容積率」⇒延べ床面積の1/3までの地階・延べ床面積の1/5までの車庫は算入されない
②建ぺい率は高い方がいい?
先ほども少し紹介しましたが、建物面積として計算されるものにカーポートや物置(コンクリート土台)も含まれます。そのため、もし建ぺい率の低い土地を選んでしまうと、考えていた間取りはもちろん、希望通りの大きさの家や目的の設備がほとんど叶わない可能性が出てきます。
できるだけ土地いっぱいに建物を建てる計画であれば、建ぺい率の高い土地を探す必要があります。
③地域ごとに異なる「制限」~用途地域とは
用途地域とは、都市計画法による市街地の区割りのこと言います。これらは、土地の用途別に13種類に分けられ、その上でそれぞれに制限が設けられています。
地域ごとに建築可能な建物の種類や「建ぺい率」・「容積率」が決められており、高さや形状に関する制限も設けられています。
また、地域によっては防火地域や準防火地域、風致地区などに指定され、建物の耐火性能・防火構造の制限や建物の位置・植栽などの緑化割合に指定がある場所もあります。
【用途地域別:建ぺい率・容積率】
用途地域 | 用途の内容 | 建ぺい率(%) | 容積率(%) |
---|---|---|---|
第1種低層住居専用地域 | 低層住宅専用 (高さ約10~12m) |
30・40・50・60 | 50・60・80・100・150・200 |
第2種低層住居専用地域 | 低層住宅専用 (小さい店舗なども含む) |
30・40・50・60 | 50・60・80・100・150・200 |
第1種中高層住居専用地域 | 中高層住宅専用 | 30・40・50・60 | 100・150・200・300 |
第2種中高層住居専用地域 | 中高層住宅専用 (店舗・事務所も含む) |
30・40・50・60 | 100・150・200・300 |
第1種住居地域 | 住宅が主 (小さい店舗なども含む) |
60 | 200・300・400 |
第2種住居地域 | 住宅が主 (大規模な店舗・事務所は含まない) |
60 | 200・300・400 |
田園住居地域 (平成30年から追加) |
農業の利便を重視 低層住宅が主 |
30・40・50・60 | 50・60・80・100・150・200 |
準住居地域 | 道路や自動車関連施設など 住居とのバランスを重視 |
60 | 200・300・400 |
近隣商業地域 | 商業施設など 近隣住民の利便性を重視 |
80 | 200・300・400 |
商業地域 | ほぼ全ての種類の建物が建築可能 (大規模な工場などは含まない) ターミナル駅周辺などの都心部・オフィス街など |
80 | 200・300・400・500・600・700・800・900・1000 |
準工業地域 | 工場が主 住居や小さい店舗も含む |
60 | 200・300・400 |
工業地域 | 工業が主 環境汚染の影響は考慮しない |
60 | 200・300・400 |
工業専用地域 | 工業のみ 住居は含まれない(住居場所として適さない) |
30・40・50・60 | 200・300・400 |
3.建ぺい率・容積率の調べ方
①建ぺい率の計算方法
建ぺい率で計算される建築面積とは、家を真上から見た時の建物の広さ(水平投影面積)を指します。
「建ぺい率=建築面積÷敷地面積×100%」
②容積率の計算方法
容積率の延べ床面積は、2階建ての家の場合、1階フロアと2階フロアの合計面積を指します。
「容積率=延べ床面積÷敷地面積×100%」
③建ぺい率40%・容積率80%のシュミレーション
敷地面積100㎡の場合、
・2階建て:1階40㎡+2階40㎡
・3階建て:1階40㎡+2階30㎡+3階10㎡
の建物が一般的に上限となります。
これに加えて、先に紹介した「全面道路制限」や「用途地域制度」、また角地緩和条件などの特例が算入されます。
【角地緩和の条件】
土地が2本の道路に面している角地の場合、建ぺい率が10%緩和されることがあります。
その場合は「敷地外周の1/3以上が道路に接している」「角の角度が120度以下である」など、自治体ごとの規定条件に従います。
4.容積率~延べ床面積に算入されないフロアの活用がおすすめ
①ビルトインガレージ
ビルトインガレージとしての面積が、建物全体の延べ床面積1/5以下であれば、容積率計算時の延べ床面積から除外させることが可能です。
例え、1/5を超える場合でも超えた部分だけを計算に加えることで済みます。
②ロフト(小屋裏収納)
ロフト空間が「天井高1.4m以下」・「ロフトがある階の1/2以下の面積」など、建築基準法上の条件であれば延べ床面積に含まれません。
③玄関ポーチ
玄関出入口の外側にある部分を「玄関ポーチ」と言います。
建物の外側に位置する玄関ポーチ部分は基本的に延べ床面積に含まれません。
しかし、自転車置き場として設計するなど用途によっては算入される場合もあります。
④地階
建物の地階にある地下室も「天井が地盤面から1m以下の高さ」・「住宅用途である」などの条件で床面積の1/3部分まで延べ床面積から除外されます。
⑤ベランダ・バルコニー
外壁面からの突出幅が2m以下のベランダやバルコニーは延べ床面積に含まれません。
突出幅が2mを超える場合には、超えた部分だけが算入される仕組みです。
5.まとめ~土地探しのポイントを押さえて理想的な家づくりをスタート
土地探しには、検討すべきことや条件が多くありなかなか難しいものですが、中でも「建ぺい率」や「容積率」は実際に建つ住まいの大きさや使い勝手を左右する特に重要なポイントです。
ハウスメーカーや工務店にお任せして、後々納得のいかない箇所が出てくるなんてことのないように、一生ものの大切なマイホームのための土地探しから、慎重に計画して理想通りの住まいを完成させましょう。
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