家を買うにあたって、限りなく予算があれば迷うこともないのですが、現実にはそうはいきません。そこで、多くの方は「ここまでは買える」という基準で物件を選んでいくことになります。そこで、今回は無理のない購入予算の考え方について紹介していきます。
■捻出できる「頭金」の額を考える
すべて自己資金でマイホームを購入できればよいのですが、大抵の場合、予算の都合から住宅ローンを利用して購入することになります。
すると、「購入できる金額」の最大値は、住宅を購入するのに用意できる自己資金と、住宅ローンの最大借入可能額を足し合わせた金額と考えることができます。
まず、「用意できる自己資金=頭金」について考えてみましょう。
その時点で持っている自己資金すべてを頭金に回せば、その分予算は増えますが、これはかなりリスキーな方法。なぜなら、貯金全てを住宅購入資金に回してしまうと、その後の貯蓄がゼロになってしまうからです。
そのため、「手元にいくら残せばよいのか」ということから考えていくことになります。具体的には、
・生活に必要な費用(食費、交通費、衣服代等)
・予定されているイベントにかかる費用(結婚式、出産、入学費等)
・予期できないアクシデントに耐える費用(事故、入院等)
以上の3点をしっかりとシミュレーションするようにしましょう。
生活に必要な費用については、事前に家計簿などから導き出しておき、その3ヵ月程度は残しておきたいところ。直近のイベントについては、それぞれの費用に合わせた準備を。事故や入院等に備えて、生活費の3ヵ月分程度を余分に持っておくと余裕が出ます。
まとめると、自己資金から「生活費6ヵ月分+予定されたイベント費用」を引いたものが「頭金」にできることになります。ただ、これはひとつの目安ですので、家庭事情に合わせた検討をして、増減してください。
■住宅ローン借入額を考える
頭金の額が決まったら、次は住宅ローンで借り入れする額を考えていきましょう。
この時、「買いたい物件の額」から頭金を引いて、残りを住宅ローンで…と考えるのはちょっと危険。背伸びしたローンの組み方になってしまうことが多く、後で返済がつらくなってしまうこともあります。
特に注意したいのは、シミュレーションサイトなどの最大借入可能額に惑わされないこと。これはあくまでも「ここまで借りられる」という目安であって、「返済のしやすさ」まで考慮されているわけではありません。
そこで、ひとつの目安となるのが現在住んでいる物件の家賃(管理費・共益費・駐車場代含む)。家賃分の金額であれば、これまで払い続けてきている実績がありますので、今後も無理なく払っていけるはずです。
ただし、家を所有するとなると、その後は固定資産税やメンテナンス費用も掛かってきます。家賃を目安にこれらの費用も計算に入れたものを、月々の返済額としましょう。
参考までに、現在の家賃を10万円とした場合でシミュレーションしていきます。固定資産税やメンテナンス費用分、1万円の余裕を持つとして、月々の支払額を10-1=9万円と設定します。
月々支払額9万円で、金利2%35年間固定、元利均等、ボーナス月加算なしで試算すると、住宅ローン借り入額は2,716万円となります。ちなみに、この場合の総返済額は約3,700万円です。
■お金の流れを把握しておくことが大事
これまでに算出してきた頭金と住宅ローン借入額を足し合わせることで、余裕を持った住宅購入の予算が出てきます。
これを目安に、物件選びをスタートするとスムーズに商談が進んでいきます。実際の購入金額を見ていくと、最初に設定した予算より若干高額になっているケースがほとんど。そういった点を考慮すると、少し厳しめに予算を設定しておいた方が返済時の負担は少なくなります。
さて、予算を決める方法は以上の通りですが、意外にこの通りに進めるのは難しいものです。なぜかというと、普段生活している中で、自分が支出している金額を正確に把握している人は少ないからで、多くの人は「なんとなく」のレベルでしかお金の流れを理解していません。
そういった人ほど、生活費は自分が思っているよりも多く支払っているものです。いざ頭金を決めようと生活費の計算をしても、少なく見積もってしまって後で困るケースも見受けられます。
そこで、住宅ローンの頭金を考える時は、その前段階として、2~3ヵ月ほど「家計簿」を付けてみることをおススメします。これによって身の回りのお金の流れが把握でき、頭金の試算もしやすくなります。また、支出額に対する意識を持つことで、住宅購入前の無駄な買い物を防ぐこともできます。
■まとめ
「いくらまでなら買えるか」ということをテーマに、その計算方法を紹介してきました。希望の物件価格では予算オーバーという場合もあるともいます。
そういった場合は無理して買うのではなく、「予算を増やす=頭金を増やす」と考えて、しばらく貯蓄に専念すると、後で満足のいく物件選びができますよ。