愛知県~岐阜県にかけて広がる濃尾平野の中央部にあり、西部で岐阜県と隣接する稲沢市。ここでは、そんな稲沢市の土地相場情報を紹介していきます。
■稲沢市の土地は平均8万2862円/m2
稲沢市の土地購入の平均価格 | 8万2862円/m2 | 坪単価:27万3925円 |
(全国平均) | 14万9978円/m2 | 坪単価:49万5796円 |
(同県(都)平均) | 15万5071円/m2 | 坪単価:51万2632円 |
最も高い地域:国府宮 | 11万1618円/m2 | 坪単価:36万8985円 |
まず、稲沢市の土地購入の平均価格を見ていきましょう。これは、国土交通省に登録される「地価公示」の数値と県庁による「地価調査」の数値に基づいて、独自に算出されているデータです。平成27年で見てみると、8万2682円/m2(坪単価:27万3925円)。
平 成27年の全国平均が14万9978円/m2(坪単価:49万5796円)、愛知県内の平均が15万5071円/m2(坪単価:51万2632円)ですの で、それらと比べると地価は低くなっています。とは言っても、愛知県の場合、名古屋市のみが県内平均を大きく上回り、それ以外の市はすべて平均以下になっ ていることは考慮に入れておくべきです。
市内にはJR東海道本線と名古屋鉄道・名古屋本線、尾西線が走っており、これら各線の駅に近づくほどその土地の地価は上がっていく傾向が見られます。
地 価をエリア別に分析すると、最も高額なのは国府宮エリアで11万1618円(坪単価:36万8985円)、次いで奥田エリアで、いずれも名鉄名古屋本線の 駅周辺となっています。平成27年の公示地価で最も高額だったのは、「高御堂1-1-15」で14万1000円/m2(坪単価:46万6115円)でし た。
宅地と商業地との地価の違いを見ると、宅地の平均価格は7万1404円/m2(坪単価:23万6046円)。商業地の平均価格は12万3571円/ m2(坪単価:40万8500円)となっています。
■古くは政治・経済の中心として発展してきた稲沢市
昭和33年に県内22番目に市制施行した稲沢市。平成17年に祖父江町、平和町とも合併して現在の市域となっています。面積は約80km2(東西約15km、南北約9km)で、愛知県内の自治体としては平均的なサイズ。
もともとこのエリアに人が定住したのは、縄文時代後期からだと言われています。飛鳥時代には国府が、奈良時代には国分寺が置かれるなど、古くから尾張国の政治・経済の中心として地域をけん引してきたエリアです。
明治以降は農業、工業の街として成長し、昭和中期にはベッドタウン化して人口が増加。オイルショック以降は工業の停滞や人口の流出にも直面しましたが、それでも平成にかけて人口は増加し、現在13万人以上を抱えています。
市内には南北にJR東海道本線と名古屋鉄道・名古屋本線、尾西線が走っているほか、駅はありませんが東海道新幹線も市域を通過しています。市の中心市街地である名鉄国府宮駅から、名古屋の市街地までは20~30分程度でアクセス可能。
高速道路のICはありませんが、市域は名神高速道路や名古屋高速16号一宮線、名古屋第二環状自動車道に囲まれており、これらのICは利用しやすい状況。特に自動車面での便の悪さを感じることはないでしょう。
集客力のある観光資源には乏しい稲沢市ですが、イベントとしては日本三大奇祭のひとつ(諸説あり)としても数えられる「はだか祭」が有名。はだかの男たちが厄を落とすためにぶつかり合い、もみ合う姿はまさに圧巻の一言。もちろん、昔から続いてきた伝統的な神事です。
また、市内(特に祖父江)は銀杏の名産地としても知られており、これを活かした和菓子なども生産され、好評。中にはみそ漬けにされたものも見受けられ、ひとつの食文化として稲沢市のPRポイントとなっています。
■稲沢市の土地評価額の動向
過 去10年間(2006~2015年)の平均地価データを見ると、2008年の8万3453円/m2(坪単価:27万5879円)をピークとして、2010 年まで下落。その後2年間は上下しながらも、ほぼ横ばいの状況でしたが、2013年には5.48%と大きく上昇。2015年上がり続けています。2015 年の地価を対前年比で見ると、0.25%の上昇がみられました。
この10年間での価格の振れ幅は5000万円/m2ほどで、目立った値動きのなかったエリアと言えそうです。
■稲沢市の地価ランキングは全国226位
それでは、改めて稲沢市の地価を他の市町村と比較してみましょう。全国順位で見ると1731市町村中、226位にランクされており、愛知県内の順位は54市町村中、27位。また、対前年比の地価上昇率0.25%は全国で297位、愛知県内では29位でした。
あくまでも目安として同程度の価格帯の地域を見ると、県内では江南市や海部郡大治町、全国から探していくと、和泉市(大阪)、姫路市(兵庫)、北葛城郡王寺町(奈良)、生駒郡斑鳩町(奈良)などと近い数値となっています。
■総括
稲沢市の土地利用状況としては、田畑の割合が多く、都市的な利用が少ないため短期的な地価の上昇は見込めないと考えられます。逆に言えば、急落の危険性も少なく、今後も地価相場は安定して推移していきそうです。
ベッ ドタウンとして人口の流入流出が多いエリアですが、そんな中でも人口は減少していっており、高齢化も市としての課題として残されています。現状では観光資 源も少なく、市内への集客も見込めないため、住宅都市としての機能性を高めていけるかどうかが、今後の市の成長のカギとなり、ひいては地価の上昇にもつな がると考えられます。