住宅を建てる際は、間取りや収納、内装や外構のことだけではなく、耐震基準のことも考えておかなければなりません。耐震基準にかかわる構造については、後から大きく変更することはできない部分。「なんとなく」ではなく、しっかり理解しておくことが大切ですよ!

 

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■耐震、制震、免震の違いとは?

地震対策として採用される構造には、耐震、制震、免震の3つがあります。同じように見える言葉ですが、意味はまったく違いますので、まずはここを抑えておきましょう。

耐震構造とは、「地震の揺れに耐える」構造。建物そのものの強度を上げることで、倒壊しにくい家を作ります。アスリートのようにカラダを鍛え上げていくようなイメージです。

制震構造とは、「地震の揺れを制御する」構造。衝撃吸収装置を組み込むことで、揺れを吸収して被害を減らします。自動車のサスペンションのようなものが入っていると考えるとわかりやすいでしょう。

免震構造とは、「地震の揺れを免れる」構造。地面と建物が直接触れ合わないような構造とすることで、揺れそのものが伝わりにくくなります。戸建て住宅にはまだあまり採用されておらず、どちらかというとマンションのような建築物に多い構造です。

 

■耐震基準とは

建物は好きな様式で勝手にどんどん建てていいわけではなく、法律に沿った形で作らなければなりません。そんな法律の中でも、耐震に関する部分を勉強してみましょう。法律の名前は「建築基準法」です。

建築基準法は昭和25年に制定され、以来現在まで様々な改正を繰り返してきましたが、特に耐震性能のハードルは大地震の度にどんどん上がってきています。

一般的には昭和56年を境に、「旧耐震設計基準」と「新耐震設計基準」に分かれており、現在はこの新基準に沿った住宅しか建てることは許されません。新基準のポイントは、「数百年に一度発生する(震度6強~7程度の)大地震であっても倒壊しないこと」を目的に設定されていることです。

 

■耐震等級とは?

また、その建物の強さを示す指標として「耐震等級」が使われます。これは、客観的に耐震性を知ることのできる目安として知られており、3つのレベルに分かれています。等級1から3と、数字が大きくなるほど、耐震性も高くなります。

 

等級1 建築基準法で定められた耐震基準(数百年に一度発生する大地震であっても倒壊しない)程度の耐震性を持つ
等級2 等級1で耐えられる地震による力の1.25倍の力に対して倒壊、崩壊しない程度の耐震性を持つ
等級3 等級1で耐えられる地震による力の1.5倍の力に対して倒壊、崩壊しない程度の耐震性を持つ

 

なお、税金の軽減や控除、住宅ローンの金利優遇などのメリットのある「長期優良住宅」の認定を受けるためには、耐震等級2以上であることが必須条件となっています。

 

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■耐震性のポイントは?

耐震、制震、免震などの構造面の違いは既に説明したとおりですが、それだけですべてが決まるわけではありません。では、住宅の耐震性は構造面の他に何の影響を受けるのでしょう?

 

・地盤の強度

耐震性は、まず地盤によって大きく左右されます。学校で習った地学の授業を思い出して頂くとわかりやすいのですが、地面の下はずっと同じ層で構成されているわけではありません。いわゆる、地層というものですが、いくつかの異なる地質の土がミルフィーユ上に積み重なってできています。

上から見ると同じように見える土も、この層の構成によって、固い地盤・軟らかい地盤というふうに状態が異なります。固い地盤であれば問題ないのですが、軟らかい地盤の場合、そのまま家を建ててしまうと傾いてしまうような場合もありますし、当然、耐震性にも悪い影響が出ます。

そのため、家を建てる際は必ず地盤の調査をして、その強度を調べます。かなり柔らかい場合には、セメントを土に混ぜて固めたり、杭を打って強化したりするなど、地盤を安定させるような改良が施されます。

・基礎の強度

基礎というのは、建物と地面がつながる部分。ここも、耐震性に大きな影響を与えています。地震の際に、柱をしっかりと繋ぎとめ建物が変形しないように 建物を支える重要な役割を果たしています。

一般的なのは「布基礎」と「ベタ基礎」。布基礎は壁の下のみに基礎を設置していくタイプなのに対し、ベタ基礎は床下前面に基礎を設置するため、一体感が出やすく耐震の面でも有利です。

 

■まとめ

ここまで、耐震性を左右するポイントについて紹介してきました。でも、ここには紹介しきれないような点がまだまだあります。

例えば建物の工法も、耐震性に大きく影響が出るところ。一般的な2×4工法や木造軸組工法などもそれぞれに特徴があります。メーカーによってそのメリットをさらに伸ばしたり、デメリットを消したりしているなど、このあたりは日進月歩の世界です。

住宅展示場などに行った際は、間取りやインテリアだけでなく、どういった工法を使用しているのか、それによりどんな特徴が生まれるのかも注意して聞いてみましょう。

 

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